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エントリーシートは添削してもらうほど落ちやすい?

2016年02月29日
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 みなさんは、自分の「ストレス耐性」に自信がありますか? 

これまで私が就職支援で関わった学生さんや若者に同じ質問をした際、「割と自信がある」という意見と「……」と首をかしげる意見で割れました。

 そして、自信があると言う学生の意見を聞いてみると、これまであまりストレスを感じたことがないから、という人が意外と多いことがわかりました。確かにストレスをあまり感じずに生きてきた方には、およそイメージがしにくいものかもしれません。

ただし、いざストレスを感じる環境になった場合、それにきちんと対処ができるか、不安が残るのも事実です。今回はそんな就職活動でストレスを感じやすい“ある場面”とそれへの対処法について考えていきたいと思います。

● 自分のことをうまく伝えられない 就活ならではの「ストレス」とは

まもなく3月、企業の採用広報開始を直前に控え、就活生たちの動きも活発化しています。いくつかの学校では既にOBやOGによる企業交流会も開かれており、各地で公式・非公式を問わず確実に就職活動はじわじわと始まっている状況です。

就職活動がはじまると、これまであまりストレスを感じてこなかった学生や既卒生もストレスを感じやすくなります。さらに友人の進捗状況を知ることで、「何をしていいか分からないが、何かをしなければいけない」というプレッシャーに駆られることも多くなるのでしょう。一方、学生時代にプレッシャーを感じず、就職しないまま大学を卒業すると、就活支援を行う私の出番となるのですが、ここではプレッシャーに駆られている前提で話を進めていきましょう。

果たして、そもそもストレスを感じることは悪いことなのでしょうか。

ストレスという言葉はポジティブな意味合いで使われることがあまりありません。文献や書籍を調べてみると、H.Selye(1907~1982年)はストレスを「生体に作用する外からの刺激(ストレッサー)に対して生じる生体の非特異的反応の総称」と定義しています。

しかし、ストレスを受けた当初は機能低下が生じるものの、その後は逆に機能を増大させてストレスに対処しようとする動きも出るようです。その防御反応は生体を活性化し、全体で見た場合にはプラスの効果をもたらすそう。「若い頃の苦労は買ってでもしろ」ということでしょうか。

つまりストレスそれ自体は「絶対悪」というわけではないようです。ある出来事に対する受け取る側の考え方や認知の仕方など、様々なものが絡まり合うことによって心身に快・不快をもたらしています。

では、就職活動中のストレス環境とはどのようなものでしょうか。その一つとして、「自分のことを説明しなければいけない環境」が挙げられます。

まず、エントリーシートをはじめとする応募書類の作成、他にはグループディスカッションや説明会など自分にとってのアウェイの場所での活動。加えて複数人の社員を相手にした個人面接も控えています。

これまでのように人間関係が限定されていたところから、世界が大きく広がっていくわけです。戸惑う方も多いのではないでしょうか。ここで、これまでストレスと無縁だった方にも押し寄せる、ありがちなストレスを感じる場面・パターンを見ていきましょう。

● エントリーシート添削の落とし穴 “添削ループ”に混乱する就活生

突然ですが、10名のカリスマ美容師がいたとします。彼らに「女性モデルAさんに最も似合う髪型を提案してください」と依頼した場合、全員が同じ髪型を提案するでしょうか。私は10名いれば10名が全く同じ髪型を提案するとはとても思えません。もちろん美容師自身が差別化しようという意識もあるでしょうが、10名それぞれの好みや実績でも変わってくるはずです。Aさんの意向をどこまで汲むかによっても異なります。

これと同様のことが、就職活動時の応募書類添削でもよく起きます。大学生であれば、就活課の職員やキャリアセンターのキャリアカウンセラーをはじめとして、就職支援企業のコンサルタントやOB・OGやリクルーター、はては家族や友人など、様々な方に応募書類の添削を頼むかもしれません。

その際に注意すべきなのは、「どのような応募書類にしたいか」、自分でイメージしておくことです。強みとしてこれを分かってもらいたいというのを大まかなイメージでもいいので伝えましょう。

なぜかというと、添削をするのはプロアマを問わず、それぞれの趣向を持った人間だからです。美容師と同様に「この髪型は避けたい」などの思いを伝えないと、添削者の意向で添削が進んで行くことになります。

また、当然初めて書く応募書類には不安も感じるものです。1人に見てもらうよりも複数人に見てもらった方が良くなるのでは、と添削を頼む場合に発生しがちなのが、“添削ループ”です。

例えば、カウンセラーAの添削で「エピソードが抽象的すぎる。もっと具体的に数値を入れて」だったとしてその通りに添削すると、今後はカウンセラーBに「内容が細かすぎて全体感が見えてこない。もっと背景がわかるように補足して」などと指摘される場合も。せっかく見てもらったので、またカウンセラーAに添削を頼むと、前回と同じ添削をされてしまい、更に「前回も言ったのに何にも改善されてない」という追加のお叱りを受けることになります。これが応募書類のループです。

カウンセラー1人ひとりにそれぞれの言い分があり、本当に相手の為を思っての発言であることから、本気度も伝わり応募者も頑張って書きなおすことが少なくありません。しかし、今度はカウンセラーCさんから新しい別の指摘を受けて……。

こうした事態に陥るのは、一見様々なカウンセラーによる弊害とも取れますが、それだけではありません。実は就活生自身の内的な要因によるストレスが大きな影響を及ぼしています。

その一つが、エントリーシートなどの応募書類に対する終わりのないこだわりの感情です。応募が初めてだからと様々なカウンセラーに話を聞くことによって、結局、軸がその都度ずれてしまいます。本人としてはストレスの大きな原因になっている“不安のある応募書類”にお墨付きが欲しいはずが、結局は添削するカウンセラーによって切り口の違う表現で延々と書き直されることになるのです。

他にも弊害はあります。いつまでも人に頼ることによって自分の文章力も磨けず、添削者寄りの文章の思考や構成方法で、本人の意向とは異なるものが出来上がってしまい、永遠に納得する応募書類などできない事態に陥ります。

だからこそ、冒頭にお伝えしたように、自分ゴールを設定しておくことが必要です。誰に添削を受けても、最終的には自分が提出する応募書類です。「添削人がイマイチだった」などとどこの企業でも通らない言い訳をしないためにも、注意をしましょう。

今年から3月の就活解禁、面接解禁は6月へと前倒しされます。それによって、昨年以上にスピード感溢れる選考が待ち構えています。気負いせず、また自信を持って進めるように今から応募書類づくりの準備をしておきましょう。

 参考文献:『ストレスの科学と健康』二木鋭雄編著(共立出版)

 (キャリアプロデューサー 櫻井樹吏)

ダイヤモンド・オンライン 2月24日(水)より抜粋。