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学業に力注いだ学生は就活有利 面接官の鋭い質問に困らないために

2013年08月19日
タイトルライン
就職活動解禁時期の後ろ倒しに対し、学生・企業・大学側の各視点から様々な議
論が行われている。この後ろ倒しは、「早期の就活開始」を防止し「学生の本分
である学業へ集中する期間」を確保する方策である。こうすることで学生生活が
就活に偏重する傾向を是正し、学生の学力向上をねらうのが目的である。

 この方策には「就活」よりも「学業」に優先度をおくべきだという前提がある
ようだが、そもそも「就活」と「学業」は対立するものではない。「学業」に力
を入れた学生は「就活」でも基礎能力をアピールできる可能性が高いからだ。
2014年卒業予定者(現大学4年生)が経験した今年の採用面接によると、ゼ
ミの研究内容や成績についての質問が増加傾向にある。以下は内定塾に通う学生
の体験談だ。

 私立大学 女子学生A 「自分の学部学科を専攻した理由を聞かれた。昔から
公民の授業が好きで、政策の仕組みを考えて問題解決することに関心があって法
学部政治学科を選んだと回答した。この考え方がコンサルティング業界でも受け
入れられたのだと思う。大学で勉強したことが就活や仕事に役立つとは正直思っ
ていなかった。でも、ディベートや論文執筆に真剣に取り組んだ経験から、論理
的な話し方や文章力が身についた。エントリーシートを書くことも困難ではな
く、面接でも相手に理解しやすい話し方ができたと思う。」

 国公立大学 男子学生B 「最終面接で『成績が良くないね。このことについ
てどう思う?』と質問された。先輩曰く就活で重視されるのは単位取得状況だけ
で、成績の良し悪しは問われないと聞いていたので困った。苦し紛れに『アルバ
イトに集中しすぎてこのような結果になり、反省しています。』と答えたけれ
ど、印象は良くなかったと思う。」

 私立大学 男子学生C 「面接で一番困る質問は『ゼミについて』。私の所属
するゼミは、就活が本格化する3年の後期は毎回自習です。欠席者が増えるとい
う理由で教授がこの方針をとったのですが、実質的に活動休止状態のゼミについ
て質問されると何も答えられない。」

 面接官が「学業」に関する質問をする意図は、卒業がかかった最大の課題であ
る学業への取り組み方を知ることで、仕事への取り組み方が想像できるからだ。
また、インターネット上では選考情報や面接の回答例が簡単に検索できるので、
他人の回答を引用できない質問で学生の本音を引き出す意図もあるだろう。就活
への取り組み方は様々だが、こうしてみると「学業」に注力することは結果的に
「就活」の精度を高めることにつながっているようだ。すると「学業or就活」
という議論は必要なく、むしろ「学業=就活」の考え方が重要だと言えよう。

 就活につながる「学業」は必ずしも資格や技術にとどまらない。学生Aの話か
らわかるように、講義や課題をこなす中で磨かれる論理的思考力や課題解決力、
情報収集力なども含む。それらは筆記試験や面接のほか、ディスカッション形式
の選考でも役立つ。さらに言えば、データ分析、ノルマ達成の計画立案、プレゼ
ン準備などのビジネス現場で大いに生かされるのだ。

 学部学科を問わず、「大学で何を学べるのか」「学んだことは将来どのように
活かせるのか」を意識して取り組むことが重要だ。学生の多くは、商学部や経済
学部の専門分野(マーケティングや経済・経営学)しかビジネスに直結しないと
思いがちだ。しかし、心理学を顧客心理に応用する、教育学部でコーチングスキ
ルを磨くなど、将来活かせるスキルを身に着ける機会は大学で得られるのではな
いか。この点に関しては、大学教員からのアプローチも求められている。単位取
得や研究発表のためだけではなく、将来の仕事にも役立てられるという視点で知
識提供することが望ましい。

 採用活動解禁時期の後ろ倒しにより学生が学業に割く時間は確保されたが、一
社一社の企業と直接的に接する機会は損なわれてしまった。さまざまな業界、企
業、職種に触れることで初めて、学業が活かされる就職先を選択できるのだ。就
活生を指導するなかで、学生の企業研究不足を感じることはとても多い。ホーム
ページや書籍からの表面的な情報収集に終始し、企業で働くイメージが出来てい
ない。それは京大・阪大など国公立上位校の学生でも同様である。

 社会人から仕事についての話を聞いたり、企業訪問をしたりすることが困難
か、もしくはその必要性を知らないのが就活生の現状である。それらの業界企業
研究を学業と並行して始められるように機会提供することが、企業や大学にさら
に求められていくだろう。就活は学生だけではなく、企業や大学を含む問題であ
る。ともに「学業or就活」から「学業=就活」へと思考転換し、“学業を含む
学生生活の活かし方”と“柔軟な就活の進め方”を考えていく必要があるだろう。

(8月18日 Yahoo!ニュース引用)